届かないけれど

手が届くか、届かないか。手が届くのは、半径1mぐらいしかない。空の雲に手を伸ばしてみても、空を切るばかり。映像も良いけれど、写真が好きなのは、目に映る景色を、切りとって手元に置けるから。そして、見返すことで脳裏に蘇る。手は永遠に届かないのかもしれないけれど。繰り返すようで、残るようで、なんだか嬉しくなる。自分の心を打った空気を誰かと共に感じることも出来そうで。ピンクの雲。ピンクスパイダー、という名曲を思い出した夕暮れに、明日は雨が降る予感。手の届かない四角い空に、憧れる蜘蛛の歌、だったっけ。祈りはどこまでも届くような気がして、仕方がない。

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