コミュニケーション

かれこれ、ギターを独学ではじめてから、30年が経とうとしている。子どもだったあの頃。あこがれの気持ちで取り組み始めて、いっこうに上手くならず、ギターを弾き疲れて抱えたまま眠ることも繰り返した。最近、地元の楽器店に足を運ぶことが増えて、いろいろな話をスタッフさんから聞く機会があった。ギターコーナーのスタッフさんが、「ギターとか、楽器って、コミュニケーションのための道具だと思っているんです」と言っていた。「あーーー」と、納得。これまで、ギターを担いで、弾いて、叩いて生きてきた人生。たくさんの人とのご縁を繋いでくれたのは、この道具だったのは間違いなさそうだ。昨日、とあるオリンピアン(五輪選手)が、この道で生きて来て、たくさんのことを経験させてもらって、このスポーツを通して、いろんなことを教わった、と言っていた。道の具と書いて道具。料理人の包丁、大工さんのカナヅチ、パン屋さんのオーブン、サッカー選手のスパイク。自分の道は何かと振り返った時、いろいろありそうだけれど、すべての道がつながっていて、その一番先っぽの部分に今がある。そのための道具がギターだったんだなあって。先輩が、「自分はギターを杖にして生きてきたから、あなたも、このギターを杖にして道を切り開いてね」と、愛用のギターをプレゼントしてくださった。忘れそうになっていたけれど、今、それを抱えて、「思えば遠くへ来たもんだ」「これから先をも楽しみに」と思う。師匠がくれた言葉「道は無限」。限りなさ過ぎて、うれしくなってくる。それぞれの道のそれぞれの道具。

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